業界ニュース vol.04 (2012.05.04号)
平成24年(2012年)4月に診療報酬・介護報酬の同時改定が実施されました。今回の改定は、「2025年のあるべき医療・介護の姿」を念頭に置き、社会保障・税一体改革成案の確実な実現に向けた最初の第一歩であり、また、患者ニーズに応じた病院・病床機能の役割分担や、医療機関間、医療と介護の間の連携強化を通じて、より効果的・効率的な医療・介護サービス提供体制を構築するための第一段階となっています。
2025年のあるべき医療・介護の姿とは、「第10回 社会保障改革に関する集中検討会議」にて、下図のように示されています。
(出典)平成23年7月14日 社会保障改革に関する集中検討委員会 資料5
また、診療報酬改定の基本方針としては、重点課題と改革の視点が下記のように掲げられ、それに基づいた内容となっています。
2つの重点課題
- 急性期医療の適切な提供に向けた病院勤務医等の負担の大きな医療従事者の負担軽減
@救急・周産期の医療の推進について
A病院医療従事者の勤務体制の改善等の取組について
B救急外来や外来診療の機能分化の推進について
C備津用等薬剤師や歯科等を含むチーム医療の促進について
- 医療と介護の役割分担の明確化と地域における連携体制の強化の推進及び地域生活を支える在宅医療等の充実
@在宅入りうわ担う医療機関の役割分担や連携の促進について
A看取りに至るまでの医療の充実について
B早期の在宅療養への円滑な移行や地域生活への復帰に向けた取組の促進について
C在宅歯科、在宅薬剤管理の充実について
D訪問看護の充実について
E医療・介護の円滑な連携について
4つの改革の視点
- 充実が求められる分野を適切に評価していく視点
@がん医療の推進について
A生活習慣病対策の推進について
B精神疾患に対する医療の充実について
C認知症対策の推進について
D感染症対策の推進について
Eリハビリテーションの充実について
F生活の質に配慮した歯科医療の推進について
G医療技術の適切な評価について
Hイノベーションの適切な評価について
- 患者から見て分かりやすく納得でき、安心・安全で生活の質にも配慮した医療を実現する視点
@医療安全対策等の推進について
A患者に対する相談支援対策の充実等について
B診療報酬点数表における用語・技術の平易化、簡素化について
- 医療機能の分化と連携等を通じて、質が高く効率的な医療を実現する視点について
@病院機能にあわせた効率的な入院医療等について
A慢性期入院医療の適切な評価について
B医療を提供しているが、医療資源の少ない地域に配慮した評価について
C診療所の機能に着目した評価について
D医療機関の連携に着目した評価について
E調剤報酬について
- 効率化余地があると思われる領域を適正化する視点
@後発医薬品の使用促進について
A平均在院日数の減少や長期入院の是正に向けた取組について
B市場実勢価格等を踏まえた医薬品・医療材料・検査の適正評価について
C相対的に治療効果が日機器なつた技術等の適正な評価について
介護報酬については、地域包括ケアの推進として、下記4つのポイントが掲げられています。
- 宅在宅サービスの充実と施設の重点化
中重度の要介護者が住み慣れた地域で在宅生活を継続できるようなサービスの適切な評価及び施設サービスの重点化。
- 自立支援型サービスの強化と重点化
介護予防・重度化予防の観点から、リハビリテーション、機能訓練など自立支援型サービスの適切な評価及び重点化。
- 医療と介護の連携・機能分担
診療報酬との同時改定の機会に、医療と介護の連携・機能分担を推進。
- 介護人材の確保とサービスの質の向上
今回の改定のみならず、超高齢社会のあるべき医療の姿を見据えつつ、引き続き、「社会保障と税一体改革成案」において、2025年の姿として描かれた病院・病床機能の分化・強化と連携、在宅医療の充実、重点化・効率化等の推進等に取り組んでいく必要があります。そのため、今までのように点数のアップダウンを考慮するのではなく、地域における自院の立ち位置を明確にし、周囲との連携を図ることを考慮しなければなりません。それらをふまえての、今後の自院の進むべき道を明確にしていく第一歩の改定である、ととらえ、診療報酬改定情報のみならず、社会保障・税一体改革案の今後の方向性等にも、目を向ける必要があります。
尚、下記ホームページに詳細の記載がありますので、参考にしてください。